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日々草の唄

死ぬまで生きる日々のようす

ビートたけし「悪口の技術」

言葉の破片



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ワールドカップを観ていて相変わらず「感動をありがとう」なんて
言ってる奴はもうてんで駄目なんだよ。
「感動をありがとう」なんて言ってるから,覚せい剤なんかに手を出すんだよ。
人の力とかで,自分を感動させるって,その根性が気に入らない。
何か他のものに頼って,どうするんだって。自分でやれよ。
                (P35,ワールドカップ「10の失敗」『悪口の技術』)



夫婦のセックスレスが言われてる時代に,その一方では,高校生や中学生が
プロの女みたいに自分の身体を売り物にしていて,それに中年親父が群がる。
かと思えば,飢えた主婦と若い男がネットで知り合って,
ホイホイ会ったりしている。
凄い曼荼羅だよ。みんなけだものだね。
デフレ・スパイラルの日本で,セックスも渦を巻いて乱れ咲いてる。
                (P49,まず裁判官から裁け!『悪口の技術』)



みんな「自分を語りたい」「俺のことを知ってくれ」なんて感じだけど,
もうこれはビョーキそのものだよ。
誰もおまえのことなんか,知りたくない!
ネットっていうのは,下手すると,一方通行どころか自閉そのものかもしれない。
                (P51,まず裁判官から裁け!『悪口の技術』)



出会い系サイトも,最初はデジタル感覚。
だけど,ほんとに楽しいことをしようとすれば,
危険を冒して相手に会って,パンツを脱がなきゃいけない。
まさに穴ログ。
                (P52,まず裁判官から裁け!『悪口の技術』)



常識も常識,偉大なる常識人こそが一番危ない人間なんだって。
                (P67,「君主論」はビジネス書『悪口の技術』)



人間の成熟っていうのもそれに通じるところがあって,
一番凄いのは,完璧でありながらワザと隙を見せるってことだよ。
                (P133,「人間として未熟」な芸人たち『悪口の技術』)



人間はそういう未熟な,隙間みたいなところがあるから面白いんだ。
どんなに立派な「かたち」を持ってる人にも必ず隙間がある。
問題なのは,今の時代はまずその「かたち」すら
つくれなくなってしまっていることなんだろうな。
                (P138,「人間として未熟」な芸人たち『悪口の技術』)



「未熟か成熟か」なんて意味がない。味が大事ってことだよ。
じゃあ,人間にとっての味は何かっていえば,
その人間の芸ってことに尽きるんじゃないかな。
                (P140,「人間として未熟」な芸人たち『悪口の技術』)



恋愛なんて,大ウソつき同士の化かし合いだからいいんだよ。
仲良くなると「私の前では,あるがままの自分をさらけ出して欲しい」なんて
言う女がいるえど,バカなこと言ってんじゃないよ。
どうしておまえに本心をさらさなきゃいけないんだ。
長く付き合ってる女に「おまえはいつまでも変わらないなぁ。綺麗だよ」って,そんなの本音のわけないだろう。
若いぷりぷりした女の方がいいに決まってるんだから。
何ヶ月も前の刺身なんて誰が食うんだ。美味くないよ,そんなもの。
「味がある」っていうけど,それは腐ってるだけだって。
みんなそういう本心を隠して,化かし合いのゲームをしてるわけ。
                (P147,究極の「恋愛論」『悪口の技術』)



恋愛論のつもりが,なんだかセックスの話ばかりになっちゃったな。
だけどおいら,ある程度健全な大人の男女の恋愛っていうのは,半分以上は
セックスが占めると思うよ。結局,あの子に会いたいというのは,セックスしたいってことだもの。
                (P164,究極の「恋愛論」『悪口の技術』)



逃げてるだけじゃ,延々と傷を背負っていくことになる。
                (P177,そして「先生」はいなくなった『悪口の技術』)

 

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ビートたけしのエッセイは個人的にすごく好きですね。
殺伐とした突き放したような口調ですが、そこはかとなく、人への諦念と愛情を感じられて。